- 治療前
- 治療後
一般的に失活歯(神経を取った歯)は生活歯(神経がある歯)と比較して破折するリスクが高いと言われています。
これは神経を取る際に歯の内部を削っていることで機械的な強度が低下することに起因すると考えられています。
今回のケースでは歯根破折した左下第一大臼歯部に対して咬合の改善を目的に親知らずの移植を行っています。
また歯根破折した部位の歯槽骨は破折線に沿って大きく吸収する(骨が溶ける)ことが多々あります。今回のケースでも術前のCBCTでは大きな骨吸収を確認しましたが、移植した歯の歯根膜に骨が誘導され、移植後1年経過時でのCBCTでは骨の再生を認めました。
今回の様に歯の移植は吸収した骨を再生させる事も可能です!
CBCTによる歯槽骨の再生までの変化
今回のケースでは失活歯が歯根破折した部位へ親知らずを移植する事で噛み合わせを作りました。
失活している歯が全て破折する転機をたどるわけではありませんが今回のケースではブラキシズム(歯ぎしりなど)があったため移植した歯が将来的に破折するリスクも当然あります。
今回はナイトガードを使用していただき歯にかかる負担の軽減を考えつつ噛み合わせの変化を毎回精査する必要性があります。
主訴 | 左下の奥歯がたまに腫れる。噛むと痛い時がある。 |
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治療内容 | 破折した歯の抜歯後に約1ヶ月半の歯肉の治癒期間を待ち親知らずの移植を行っています。 移植後は約3週間経過した後に根管治療を行い、経過を見ていきます。 エックス線写真上で骨の再生を確認しつつ仮歯で様子をみて、移植後約半年で最終補綴としました。 |
患者様の年齢 | 55歳 |
患者様の性別 | 男性 |
治療期間 | 2016年6月から約5ヶ月 |
治療費 | 約20万円 |
治療で得られるメリット | ブリッジや入れ歯と違い周囲の歯への負担を軽減できる。 また今回は高度に骨吸収を起こしていたが、移植歯による骨の誘導で骨の再生も獲得できた。 |
治療する際に起こるリスク・副作用 | 歯の移植には外科的な手技を要する 治療期間が他のものと比較しやや長くなる |