女性の歯周病

女性の歯周病

  • 女性にはライフステージにより歯周病になりやすい時期がある

女性にはライフステージにより歯周病になりやすい時期がある

まず歯周病の原因は、歯磨き時の磨き残しに生じるプラーク(歯垢)、細菌の塊です。プラークはやがて歯石になります。歯石になるとご自身のケアでは取り除けません。そして、私たちの体はなんとか異物を取り除こうと免疫が活性化します。この状態を炎症といいます。

炎症により歯周ポケットが生まれ、さらに歯を支える骨が壊され、ひどい場合には歯が抜け落ちてしまいます。

歯を失う原因の約42%が歯周病によるものだという調査結果もあります。原因の一つに、歯と歯の間、歯と歯肉の境目の清掃が十分でないために、口腔(こうくう)内に細菌が蓄積することが挙げられています。

 

 

 

男女ともに歯周病のリスクはありますが、女性には特有の歯周病があります。これらはエストロゲン、プロゲステロンという2つの女性ホルモンが大きく関係しています。

 

 

 

 エストロゲン

 身体を外敵から守るために免疫を活性化して、妊娠・出産において母胎と胎児を守ります。免疫が活性化するということは先ほどお伝えしたように、炎症も起こりやすくなります。女性ホルモンの量は月経や排卵、月経前によって変わります。ちなみに男性ホルモン(テストステロン)は免疫を抑える働きをしています。

 

 

 プロゲステロン

 炎症の元であるプロスタグランジンを刺激します。

 

 

 

女性の場合、ライフステージごとに女性ホルモンが大きく変化するため、それぞれ注意すべき歯周病があります。

 

 

・思春期・月経関連歯周病

 

 症状:歯肉の腫れ、歯磨き時の出血、口臭や口の中のねばつき

 

 原因:エストロゲンによる過剰な免疫応答、エストロゲンを好む歯周病菌の増加、プロゲステロンが歯ぐきにむくみを誘発

 

 

・若年性(侵襲性)歯周病

 

 症状:歯肉と骨が急激に破壊される重度歯周炎、若年者(思春期~35歳)に発症、女性に多い

 

 原因:女性ホルモンの乱れ、家族性の遺伝

 

 

・妊娠関連歯周病

 

 症状:歯ぐきの腫れ、歯磨き時の出血、口臭や口の中のねばつきなど

 

 原因:女性にとって、最も歯周病が進行しやすい時期は妊娠期といわれています。妊娠すると女性ホルモンは約20倍にも増え、出産直前まで増え続けるため、ホルモンバランスが大きく乱れます。また、つわりなどで歯磨きがおろそかになってしまうという物理的な要因も影響します。既に歯周病のある人は悪化しやすくなり、歯周病は早期低出生体重児の出産につながることも報告されています。歯周病の治療は妊娠前に済ませておくことが望ましいです。

 

 

・閉経後歯周病

 症状:元々の歯周病が悪化、まれに慢性剥離性歯肉炎(ただれて焼けるような痛みと出血)

 原因:女性ホルモンの枯渇(骨量の減少、免疫・炎症反応の変調)、ドライマウス

 

更年期には自律神経の働きやホルモンバランスの乱れにより、唾液の分泌が減少してドライマウスの状態になります。口の中が乾くと汚れがこびり付きやすくなり、通常の歯ブラシでは汚れをきちんと落とすことが難しく、細菌も繁殖しやすくなりその結果、歯周病を誘発したり症状が悪化したりします。

 

 

 

このように女性には、ライフステージによって歯周病を発症し、悪化させやすい時期があります

特に妊娠中はホルモンバランスの影響で唾液の粘度が増し、口腔内を清潔に保つ機能が低下します。そのため、歯茎に限局した炎症が認められる歯肉炎を発症しやすくなります。

すでに歯周病を発症している場合は、きっちりと治療を受ける。その後に良い状態を長く維持するためには、正しい方法で、寝る前にしっかりと歯磨きをし、歯垢を落とす。これがとても大切です。

しかし、歯磨きを行っていても歯並びによっては歯垢や歯石がたまりやすい箇所ができるのでその場合は、歯並びを矯正すると歯周病や虫歯の予防にもつながります。

 

 

かかりつけの歯科で正しい歯磨きの方法を習いましょう。生涯を通して、お口の健康を守るかかりつけの歯科医師、歯科衛生士を持つことは非常に重要です。

また、3カ月に1度は定期的に受診し、ケアと指導を受けることも大切です。口腔内を清潔に保つよう心掛けてください。歯磨き時に出血があり歯周病かな?と不安を感じたらぜひ、歯科医院いらしてください。